旧・能登英輔の「のとのーと」

のとのーとの過去記事

感想。

今日は、先日観に行った怪獣無法地帯「ヤクザ・リア王 西日本激闘篇」の感想です。

相変わらず野球観戦の野次のようなもんですので、鼻で笑って読んで下さい。
むしろ読まなくてもいいくらいです。

いつもいつも書き始める時にこんなに勇気がいるんなら書かなきゃいいのにって思うんですけどね。
まあ、とりあえずもうちょっと。





んーと、簡単な感想としては「漢」ですな。
むさ苦しく、騒々しく、頭が悪く、でも己を信じるという感じの。
まず宣伝文が好きでした。

~~「殺ったれ!組長の首、殺(と)ったれ!」 狂った男と女たちの 欲望によって、西日本は焦土と化す!~~

何か期待感があってワクワクするというか。

で、劇場入りすると客席入ったとたんにヤクザ風の皆さんに迎えられ。
…ビクッとしました(笑)
その割に劇場が暑くなりますんで!と一生懸命注意してくれるギャップと、無茶ぶり(?)された棚田さんが小話を始めたんですけど、知り合いにしか目を合わせようとしないというかわいらしさにほっこりしました。

僕の席が幸いなことにクーラー真下だったんで、そんなに暑くなかったんですけど、他の席は結構うちわを使っていたのできっと暑かったんでしょう。
みんな叫ぶのでとてもうるさいですと言われたけど、それもあまり気になりませんでした。

さて、本編の方ですけど。
簡単にあらすじを。
めっちゃ簡単に。

ヤクザの組長が引退して、息子の一郎、二郎、三郎に組を分け与えると言いますが、三郎は兄二人の性の悪さをわかっていたので組長に反対。
組長激怒、三郎勘当。
三郎 road to カタギ。
三郎の予想通り、元組長は兄たちに相手にされず路頭に迷う。
兄たちは自分たちの組を大きくしようと闘争を始め…



そこに女が絡んだりとか色々あるんですが、主な筋はこんな感じ。

で、最後なんですけど。
もう終わったから書いても大丈夫ですよね?

最後はほぼ全員死にます。

兄たちはそれぞれつぶし合い、それを止めようとした三郎も撃たれ、息子達がみんな死んでしまったことを知った元組長も発作か何かで。


脚本における「三郎」にちょっと不満を感じました。
リア王をベースにしているので仕方ないのかもしれませんが、三郎が完全に無駄死にという感じで。
むしろ何しに来たんだ、ってくらいのタイミングでやってきていきなり撃たれるという。
本来のリア王は、息子ではなく三人の娘達なんです。
で、最後は上の娘二人に見放されたリア王が末の娘の力を借りて他の二人に攻め込み、しかし残念ながら捕らえられ、末の娘は殺されてしまうという流れだったはず。

元組長に力を貸すわけでもなく、カタギの世界で生き始めた姿もわずかに描かれたくらい。
本当に愛してくれていたのは末の子だったという部分も薄かった。
となると今回の作品において「三郎」の存在意義というものが…

全体的に「リア王」に縛られてしまった部分があったのではないかと思います。
リア王どうのを無しで今回のをベースにもっと自由にやったらよかったんじゃないかと思いました。

とは言え、割と満足。

内容はベタでした。非常に。
でも僕は単純な人間なので、ベタ好きです。
いいじゃない!ベタ。
ただ、ヘタなベタはしんどい。
すぐお腹いっぱいになる。
もういいす、もう食べられないですってなります。

今回はそうはなりませんでした。
僕にはちょうどよかったです。


あ、演技面でひとつ。
クセなのかわからないんですけど、顔でものっすごいヒントをくれる役者さんがいまして。
お名前わからなくて申し訳ないんですけど。
話の流れとか、感情とか、色々お客さんにヒントを出すのは有りだと思いますけど、それが客に気付かれちゃダメじゃないかと。
それはもうヒントではなく答えになっちゃってないかと。

んー、自分で書いててわかりづらい。
ちょうどいい「あんばい」が大事ということかな。
例えば、ひどい暴力を見てしまったという場面の際、他のみんなが目を背けるくらいのところを一人だけ目を剥いて息が荒くなってガタガタ震えだしたらおかしいでしょって話。
それがわざとやっているとわかって笑いに繋がったり、その後に生きてくるなら話は別ですが、話のお客さんの集中力を少しでも削ぐのであればそれはダメなものであると思います。

まあ、お芝居とか演技とかって言うのは結局好みだと思います。
『これが正しい』なんてものはないので。
「僕はこの味が好きです」ということですね。


全体を通して、細かいことは色々あるんです。
遊ぶんならもっとしっかり遊んで欲しいとか、人数合わせの助っ人!とか、それにしたって助っ人ちょっといじってよとか、助っ人のメガネもういいや。

まあ色々あるんですけど、結局こまけえこたぁいいんだよ!
って気になる舞台でした。
勢いのある舞台だったと思います。
個人的に三郎役の秋庭さんをもっと見たかったです。
久々に熱い舞台を楽しませてもらいました。
ありがとやんした。